笑って集う、地元の“蔵”──焼肉 笑蔵(わらぞう)店主・平山さんインタビュー
千葉県多古町にある焼肉店「笑蔵(わらぞう)」。地域に根ざした温かみのあるお店として、多くの人に親しまれています。今回は店主・平山さんに、店名の由来から食材へのこだわり、そしてご自身の経歴や地元への思いについてお話を伺いました。
店名「笑蔵(わらぞう)」の由来を教えてください。
「笑蔵という名前には、“みんなが集まって笑って、美味しいものを食べて、お酒も楽しめる場所にしたい”という思いが込められています。『笑う』という言葉に、響きのいい『蔵』を合わせました。実は『笑って蔵』という言葉は後からお寺さんに付けてもらったもので、深い意味はあまりないんです(笑)。名前のポイントは響きですね。『しょうぞうさん』と間違われることも多いですが、『わらぞう』です!」
平山さんのこれまでの経歴を教えてください。
「生まれも育ちも多古町で、小学校から高校まで地元の学校に通い、その後千葉の美容専門学校を卒業して美容師として約10年働きました。ですが、美容の仕事に対するモチベーションが下がり、弟が働く焼肉屋に興味を持って転職し、現在は自分のお店を運営しています。」
お店を始めたきっかけを教えて下さい。
「僕は美容師として働いていたのですが、無職になってしまって…。そんな中、もともと接客が好きだったこと、そして弟が焼肉屋で働いていたこともあり、焼肉屋の仕事に興味を持ちました。実は実家が精肉店(平山精肉店)を営んでいたことも大きな後押しになり、2007年に自分の仕事として焼肉屋を始めました。」
仕入れやお肉のこだわりについて教えてください。
「お肉は新鮮さと品質が命です。父と母が営む平山精肉店との繋がりがあるので、安定して良いお肉を仕入れられるのは笑蔵の大きな強みです。また笑蔵では柔らかくて旨味があるメスの肉を使っているのも一つのこだわりかもしれません。ランクで言えばA5やA4ですかね。」
なぜお肉はメスを中心に扱っているんですか?
「オス牛は去勢する関係で、筋繊維がやや太く、しっかりとした食べごたえがあります。赤身好きな方には好まれますね。一方でメス牛は、筋繊維が細いため、肉がやわらかく、食感も繊細です。旨みがしっかり乗っていますね。いい肉を少しずつ楽しみたい、という方にはメス牛は合ってると思います。『笑蔵』としても物価高などで厳しい状況ですが、肉の品質はこだわりたいのでメス牛を使用しています。」
一番のおすすめメニューは何ですか?
「一番のおすすめですか、、、(笑)。正直決められません。どれも自信を持ってお客様に提供しているので!」
お客様からよく注文していただくメニューはありますか?
「やはり『上盛り』ですかね。一皿400g(4種類×各100g)とボリュームもあります。中でも数量限定の“ハラミ”が入っているのがポイントだと思っています。迷ったらまずはこの『上盛り』を注文するのがおすすめです。その後、違うお肉を楽しむのもいいですし、お気に入りの部位が見つかったら、単品で追加するスタイルがおすすめですね。」
たれのこだわりなどありますか?
「はい、たれは独自で開発して、お客様に提供しています。最初から完璧なレシピがあったわけじゃなくて、“こうしたらもっと美味しくなるんじゃないか”“この味のバランスはどうだろう”って、今でも試行錯誤の連続です。少しずつ調整しながら、今の味にたどり着きましたけど、まだまだ“完成”というより“成長中”ですね。お肉の美味しさを引き立てつつ、たれ単体でも印象に残るような味を目指しています!」
現在感じている課題などがあれば教えて下さい
「一番の課題は人手不足ですね。本当は、町内で行われる“あじさい祭り”や“多古米グランプリ”などのイベントにも積極的に参加したいんですが、普段の営業で手一杯なのが現実です。アルバイトスタッフは現在6名ほどいて、みんな頑張ってくれているんですが、もっと人手があればできることの幅も広がると思っています。今もスタッフは絶賛募集中なので、ぜひ気軽に応募してほしいですね!」
今後挑戦してみたいことはありますか?
「しゃぶしゃぶをやってみたいなと思ってるんですよ。焼肉とはまた違った楽しみ方ができるし、いいお肉を薄くスライスして、さっと火を通して食べるスタイルって贅沢じゃないですか?僕もしゃぶしゃぶ大好きですしね(笑)。今の笑蔵の強みである“肉の質”をそのまま活かせると思っていて、メス牛のやわらかさとか脂の甘みも、しゃぶしゃぶだとまた違う形で味わえると思うんです。まだ具体的にいつスタートするかは決まっていませんが、お客さんにもっといろんな楽しみ方を提案できる店にしていきたいですね。」
焼肉「笑蔵」を通じて嬉しかったことや印象に残っていることはありますか?
「やっぱりですね、お会計終わりましてお客さんが、『美味しいねと、また来ますねっ』という言葉が一番嬉しいですね。あとはこういう場があることで、同級生とか、お知り合いとか、お店を通じて会えるっていうのが何よりの喜びなのかなって思いますね。接客も好きですし、お酒飲んで、お酒飲まなくても美味しいもの食べて、お客さんが楽しくその場を楽しんでいただけていれば、自分はやっぱりこの仕事をやってよかったなって思いますね。」
笑蔵さんが拠点を構える地元・多古町とのつながりで、意識していることはありますか?
「どうなんですかね……正直、『繋がろう』と意識して何かをしているわけではないんです。でも、自然と顔を合わせたり、お店に来てくれたり、話したりしているうちに、気づけば繋るといった、自然の繋がりを意識しています。多古町って移住してきた方も多くて、子どもが同じくらいの年だったりすると、自然と顔見知りにもなったりしますし。お店に来てくれたら、おいしいものを出すのはもちろん、ちょっとした会話も大切にしています。意識して『地域と仲良くしよう!』みたいな感じではないけど、気づけば人が集まってきてくれるような場所になればいいなと思っています。」
——最後に、一言お願いします。
いつでも美味しいお肉を用意してお待ちしてますので、是非ご来店ください。これからも焼肉笑蔵をよろしくお願いします!